AIの可能性を残したまま、安全に使える社会をつくれないか
AIの能力を抑えることだけから始めるのではなく、その可能性を残したまま安全に使う方法を考えたい。安全性とイノベーションの両立についての創業者の視点です。

AIの安全性とイノベーションの両立を考えるためのイメージ画像です。本記事は創業者の考えを述べたもので、個別の法制度の評価や法的助言ではありません。
AIがどんどん高性能になっていくことに、私は大きな期待を感じています。一方で、その進化に伴って規制の議論が強まるとき、技術の可能性まで狭まってしまわないだろうか、と少し残念に感じることもあります。
もちろん、ルールや安全対策が必要だという考え方は理解できます。AIの悪用、不正アクセス、有害な情報の拡散、意図しない動作など、社会に被害を与えるリスクを軽視することはできません。
だから、何のルールも必要ないと言いたいわけではありません。私が考えたいのは、安全性を守るために、どのような方法を選ぶべきなのか、ということです。
能力を制限する前に、使い方を設計できないか
新しい技術が登場したとき、問題が起きる可能性があるからという理由だけで、その能力を先に制限することが、いつも最善の解決策なのでしょうか。
私は、危険な使い方を防ぐことと、技術そのものの可能性を狭めることを、できるだけ分けて考えたいと思っています。もちろん、リスクによっては利用を制限する判断が必要な場面もあるでしょう。
例えば、重要な操作には人間の確認を求める。アクセスできる情報やシステムを限定する。実行した操作を記録し、問題が起きたときに確認できるようにする。
用途や危険性に応じて、こうした対策を組み合わせる余地はあるのではないでしょうか。ただし、これらの対策だけで、すべてのリスクが解消するわけではありません。
「何ができるか」を抑えるだけでなく、「どう安全に使うか」を設計する。
責任を、誰か一人に押し付けない
AIが高度になるほど、責任の所在も複雑になります。開発者の責任はどこまでなのか。AIを提供する企業の責任はどこまでなのか。そして、そのAIを実際に使う人間には、どのような責任があるのか。
私は、開発者・提供企業・利用者それぞれの役割と責任を、もっと丁寧に議論していく必要があると感じています。
すべてを利用者の自己責任で片付けるべきではありません。提供する側には、想定できるリスクへの対策や、限界を分かりやすく伝える責任があります。一方で、利用する側も、目的や影響を考え、出力をそのまま信じず、必要な確認を行うことが大切です。
AIが生み出す価値を広げることと、その利用に責任を持つことは、対立するものではないと思います。
ルールにも、分かりやすさと検証が必要
ルールを作るのであれば、どのような危険を防ぎ、誰を守ろうとしているのか。その目的や根拠、技術への影響が、分かりやすく説明されることも重要だと思います。
そして、導入した対策が実際に役立っているのか、必要以上に新しい挑戦を妨げていないかを、継続的に確かめていく。
技術が変われば、リスクも対策も変わります。一度決めたルールを固定するのではなく、現実に合わせて見直し続ける議論が必要ではないでしょうか。
法律や規制と、個々のサービスが定める利用ルールは同じものではありません。それぞれの目的と影響を分けて考えることも大切だと感じています。
採用の分野でも、安全性と可能性を両立させたい
私たちがZipUppで取り組んでいる採用の分野でも、この考え方は重要です。
AIが情報の整理や比較を支援する一方で、個人情報の扱いや評価の公平性に配慮し、最終的な判断には人間が責任を持つ。その両立を考え続けることが大切だと感じています。
AIの出力には誤りや偏りが含まれる可能性があります。AIが整理した情報を、候補者についての確定的な事実や、採用の正解として扱わないことも重要です。
AIに任せられる作業を任せることは、人間の責任をなくすことではありません。人が確認し、対話し、判断するための時間を増やすことにつなげたいのです。
安全性とイノベーション。どちらも諦めたくない
AIは、これまで一人ではできなかったことを可能にしてくれるかもしれない、大きな可能性を持った技術です。私自身も、その力を使ってZipUppを形にしてきました。
だからこそ、AIの進化を恐れて能力を抑えることだけから始めるのではなく、この能力を残したまま、どう安全に使える社会を作るかという議論を、もっと進めてほしいと思っています。
安全性とイノベーション。どちらか一方を選ぶのではなく、両方を可能な限り守る方法を探す。
簡単な答えがある問題ではありません。それでも、危険を直視しながら、可能性も諦めない。その姿勢が、これからのAI時代に必要なのではないでしょうか。
AIを減らすことだけではなく、AIとともに、より安全で明るい未来をつくるために。