採用業界は、いったいどれだけの時間を無駄にしているのか? マイナビ最新調査から見えた採用の非効率性
マイナビの最新調査から、書類選考・条件不一致・求人閲覧に潜む非効率を考察。企業と候補者が重要な判断に集中するために、ZipUppが挑戦していることを紹介します。

2026年10月30日、マイナビが「2026年9月度 中途採用・転職活動の定点調査」を発表しました。
この調査結果を読んで、私が最も強く感じたのは、現在の採用活動には、企業側にも候補者側にも、まだまだ削減できる無駄が大量に存在しているということです。
いくつか興味深い数字があったので、ZipUppの開発者という立場から考察してみたいと思います。
1. 36.9人の応募に対して、入社数は6.4人
今回の調査によると、企業の直近1か月間の中途採用活動における平均値は以下のとおりでした。
• 応募者数:36.9人
• 書類選考通過数:19.1人
• 一次面接実施者数:14.5人
• 最終面接実施者数:9.4人
• 内定数:7.4人
• 入社数:6.4人
応募者数と入社数を単純に比較すると、約17.3%に相当します。
以前、私が調べた別のデータでは、73人の応募に対して採用はわずか1人という数字でした。
今回の数字はそれと比べて、ずいぶん入社率が高い印象を受けます。
もちろん、調査対象や集計方法が異なるため、単純比較はできません。また、今回の数字は同一応募者を追跡した採用率ではありません。
それでも、採用活動の各段階で相当な人数の選考が行われていることがわかります。
そして、私がもっと気になったのは、その選考で一体何を確認しているのか、ということでした。
2. 書類選考で不採用にする理由。それ、本当に人間が確認する必要がありますか?
企業が応募者を書類選考で不通過とした理由の上位3項目は、次のとおりでした。
1. 募集職種に必要なスキルが不足していた
2. 募集職種に必要な職務経験が不足していた
3. 求める経験年数や経験内容と合わなかった
これを見て、私は率直に思いました。
この3つ、人間がわざわざ履歴書や職務経歴書を読んで確認する必要があるのでしょうか?
必要なスキル、職務経験、経験年数。
いずれも企業側の採用条件と候補者のプロフィールを照合すれば、かなりの部分を機械的に判断できる項目です。
まさにAIが得意とする仕事です。
ZipUppでは、こうした条件の照合を約0.1秒で、しかも無料で実行できる仕組みを用意しています。
もちろん、経験の質や実際の能力など、数字やキーワードだけでは判断できない部分もあります。
しかし、少なくとも基本条件の確認に採用担当者が時間を費やす必要はないはずです。
人間は、人間にしかできない判断に時間を使うべきではないでしょうか。
3. 選考辞退・内定辞退の理由にも、大きな無駄が隠れている
次に気になったのが、企業側が把握している選考辞退・内定辞退の理由です。
上位には「他社の選考を優先した」「他社から内定を得た」「他社への入社を決めた」といった理由が並びます。
複数企業への応募が一般的な転職市場では、こうした競争は避けられません。
しかし、さらに注目したいのが、次のような理由です。
• 給与・年収が希望と合わなかった
• 勤務時間・休日条件が希望と合わなかった
• 仕事内容が希望と合わなかった
これらを見て、私は疑問を感じました。
なぜ、こんな基本的な条件が選考の途中まで問題として残っているのでしょうか?
給与や年収の希望額、勤務時間、休日、仕事内容。
これらは本来、面接を行う前に確認しておくべき条件です。
企業の採用担当者が書類を確認し、面接の日程を調整し、候補者も時間を確保して面接に参加する。
そして最後に「希望年収が合わないので辞退します」。
もし事前に確認できた条件が原因であれば、双方が費やした時間の多くは避けられたはずです。
実際、同じ調査の候補者側の回答でも、面接前後に選考を辞退した理由の上位は「給与・年収が希望と合わなかった」(24.5%)、「仕事内容が希望と合わなかった」(23.8%)でした。
もちろん、面接を通じて仕事内容への理解が深まったり、条件交渉の結果として辞退したりするケースもあるでしょう。
しかし、最初から確認できる条件については、面接前にすり合わせるべきです。
ZipUppでは、こうした基本条件を企業と候補者のプロフィールに登録し、マッチングの段階で照合することを重視しています。
面接は条件確認の場ではなく、もっと本質的な相互理解の場であるべきだと考えています。
4. 候補者も、応募しない求人を見るために時間を使っている
さらに興味深かったのが、候補者が求人を閲覧したにもかかわらず、応募しなかった理由です。
上位5項目は以下のとおりです。
1. 希望する給与・年収水準ではなかった
2. 希望する仕事内容ではなかった
3. 理由は特にない
4. 自身の経験やスキルでは応募条件を満たせないと思った
5. 福利厚生・待遇が希望と合わなかった
ここでも同じ問題が見えてきます。
給与、仕事内容、必要なスキル、福利厚生。
これらは求人を見る前に照合できる情報ではないでしょうか。
今回の調査では、候補者の平均求人閲覧数は23.9件、それに対する応募数は6.1件でした。
つまり、閲覧した求人のうち、実際に応募するのは約4分の1という計算になります。
もちろん、求人を比較検討すること自体に意味はあります。
しかし、希望年収に届かない求人や、必要なスキルが明らかに合わない求人を一件ずつ確認する時間は、本当に必要でしょうか。
ZipUppでは、候補者が希望条件やスキル、職務経験などをプロフィールに登録し、それらの条件をもとに企業との適合性を判定します。
基本条件に合わない求人を最初から除外できれば、候補者は自分に合った機会を探すことに集中できます。
求人を大量に見せることが、必ずしも候補者にとって良いサービスとは限りません。
重要なのは、何件の求人を見せるかではなく、どれだけ適切な機会に出会えるかだと思います。
5. 採用業界の無駄は、企業と候補者の両方が負担している
今回の調査から、私は一つの共通した問題を感じました。
それは、採用プロセスのさまざまな段階で、本来もっと早く確認できる情報を、時間と労力をかけて確認しているということです。
企業側では、履歴書の確認、基本条件の照合、面接日程の調整、条件不一致による辞退への対応。
候補者側では、求人の検索、条件の確認、応募書類の作成、面接への参加。
もちろん、採用には人間同士のコミュニケーションが欠かせません。
しかし、だからといって、すべての作業を人間が行う必要はありません。
むしろ、単純な照合や情報整理をAIに任せることで、企業も候補者も、本当に重要な判断に時間を使えるようになるはずです。
6. ZipUppが挑戦していること
私たちがZipUppを開発した理由は、まさにここにあります。
採用担当者の仕事をAIに置き換えたいわけではありません。
候補者をAIだけで評価し、採用を決めたいわけでもありません。
人間がやらなくてもいい仕事を、できる限りAIに任せたいのです。
基本条件の照合、スキルや経験の確認、候補者情報の整理、そしてAIインタビューによる情報収集。
こうした作業を自動化することで、採用担当者は最終的な判断に集中でき、候補者も無駄な応募や面接を減らせる。
それが私たちの目指している採用の形です。
今回のマイナビの調査は、採用業界が抱える課題の一端を、具体的な数字で示してくれました。
もちろん、ZipUppによって実際にどれだけの時間やコストを削減できるかは、今後の利用実績によって検証していく必要があります。
しかし、改善できる余地が大きいことは間違いないと考えています。
採用に必要なのは、より多くの作業ではなく、より少ない無駄です。
私たちはZipUppを通じて、企業にとっても候補者にとっても、もっと合理的で効率的な採用の仕組みを実現するチャレンジを始めています。
参考資料
株式会社マイナビ「2026年9月度 中途採用・転職活動の定点調査」(2026年10月30日公開)