AIで作成された履歴書を禁止しても意味がない。これからの採用活動で本当に重要になること
応募書類を誰が書いたかより、内容が本当か、候補者が何をできるか。AIが当たり前になった時代の採用活動を考えます。

AIによる面談と情報整理を表現したイメージ。実際のZipUppの画面ではありません。
企業は、候補者がAIを使って応募書類を作成することを、もはや止めることはできないと思います。
最近では、AIを使って履歴書や職務経歴書、自己PRなどを作成することが当たり前になりつつあります。
それに対して、AIを使った応募書類を認めない、AIによる文章作成を禁止する、といった話も聞きます。
しかし、私はこうした考え方にはあまり意味がないと思っています。
ここまでAIが一般化し、今後さらに進化していくことが確実な世の中で、AIの使用を禁止したところで、それをどうやって確認するのでしょうか。
AIが作成した文章なのか、それとも本人が一から書いた文章なのか。今後、その違いを正確に判断することはますます難しくなるでしょう。
AI生成文章への電子透かしは解決策になるのか
最近では、AIが作成した文章に電子透かし(ウォーターマーク)を埋め込み、AIによって作成された文章かどうかを判別しようという技術も研究されています。
しかし、私はこれも根本的な解決にはならないと思っています。
AIが作成した文章を、人間が少し書き換えたらどうなるでしょうか。
あるいは、別のAIに文章を言い換えさせたらどうでしょうか。
透かしの仕組みにもよりますが、こうした編集によって判別が難しくなる場合があります。
仮に、あるAIが生成した文章を識別できたとしても、すべてのAIが同じ仕組みを採用するとは限りません。
結局、AIを使って文章を作成したり、推敲したりすること自体を完全に止めることはできないのです。
私は、AIの利用を禁止する方法を考えることよりも、AIを使うことが当たり前になった社会に合わせて、採用の仕組みそのものを変えていくべきだと思います。
そもそも、AIを使うこと自体が悪いことなのでしょうか。
私はそうは思いません。
大切なのは、応募書類を誰が書いたかではなく、そこに書かれている内容が本当なのか、そしてその候補者が実際にどのような能力を持っているのかということのはずです。
履歴書から人を判断する時代は終わった
かつて日本では、履歴書を手書きで作成することが一般的でした。
字が綺麗かどうか、誤字脱字がないか、文章がきちんと構成されているか。
そういったところから、候補者の性格や仕事に対する姿勢、能力などを判断しようとしていた時代がありました。
もちろん、当時はそれなりに意味があったのかもしれません。
しかし、今は違います。
文章を書くことが苦手な人でも、AIを使えば非常によくできた自己PRを作成できます。
自分の経験をうまく説明できない人でも、AIに相談すれば、説得力のある職務経歴書が完成します。
一方で、実際にはそれほど能力や経験がない人でも、AIを使えば立派な応募書類を作ることができてしまいます。
もちろん、AIを使っているからといって、その内容が嘘だというわけではありません。
むしろ、文章を書くことが苦手なだけで、本当は優秀な人材が、自分の能力を適切に伝えられるようになるというメリットもあります。
ただ、企業の採用担当者からすれば、困った問題が生じます。
どの候補者の応募書類も、非常によくできたものになってしまうということです。
そうなると、文章の完成度や自己PRの上手さだけで候補者を比較することには、ほとんど意味がなくなっていくのではないでしょうか。
これから重要なのは、書かれている内容の裏付けを取ること
では、企業はこれからどうやって候補者を選べばいいのでしょうか。
私は、応募書類に書かれている内容を、いかに効率よく確認するかが重要になると考えています。
例えば、ある候補者が職務経歴書に「プロジェクトをリードし、大きな成果を上げた」と書いていたとします。
それ自体は素晴らしいことです。
しかし、本当にその人が中心となってプロジェクトを進めたのでしょうか。
どのような問題に直面し、どうやって解決したのでしょうか。
その成果は本人の能力によるものなのか、それとも周囲のサポートや環境によるものだったのでしょうか。
こうしたことは、綺麗に整えられた応募書類を読むだけでは分かりません。
実際に質問をして、その回答を確認する必要があります。
さらに、回答の内容によって追加の質問をしたり、説明に矛盾がないかを確認したりすることも必要でしょう。
つまり、これからの採用活動では、書類を読むことよりも、書類に書かれている内容を検証することの重要性が高まっていくと私は考えています。
しかし、その作業をすべて人間が行うのは現実的ではない
ここで別の問題が出てきます。
応募してくる候補者全員に対して、採用担当者が時間をかけて面接を行い、経歴や能力を一つひとつ確認することは、現実的ではありません。
応募者が数十人ならまだしも、数百人、数千人となれば、膨大な時間と人件費が必要になります。
だからこそ、企業はこれまで応募書類によるスクリーニングを行ってきたわけです。
しかし、その応募書類がAIによって綺麗に整えられる時代になった今、従来と同じ方法を続けていても、候補者の本当の能力を見極めることはますます難しくなります。
そこで必要になるのが、AIによる採用プロセスの自動化だと思います。
最近では、応募書類をAIで分析するサービスが増えています。
AI面接を提供する企業も少しずつ増えてきました。
こうした技術は、今後さらに発達していくでしょう。
ただ、私が疑問に思っていることがあります。
書類審査はこのサービス、AI面接は別のサービス、候補者の比較はまた別のシステム。
これでは、採用担当者が複数のサービスを使い分けなければならず、結局は多くの作業が残ってしまいます。
もっとシンプルにできないのでしょうか。
私たちがZipUppで目指していること
私たちが開発したZipUppは、こうした採用活動の問題を解決するためのプラットフォームです。
目指しているのは、応募の段階から、最終面接に呼ぶ候補者を選ぶところまでを、できる限りワンストップで行える仕組みです。
候補者の経歴や経験、スキル、企業側の採用条件などをAIが分析し、候補者と企業の適合性を比較する。
さらに、AIによる面接を通して、応募書類だけでは分からない情報も確認する。
そして、それらの情報を整理し、採用担当者が候補者を比較、判断しやすい形で提供する。
もちろん、AIが候補者のすべてを理解できるとは思っていません。
AIの評価が必ず正しいとも思っていません。
だからこそ、最終的な判断は人間が行うべきだと考えています。
私たちがやりたいのは、人間の採用担当者をAIに置き換えることではありません。
採用担当者が、本当に人間でなければできない仕事に集中できる環境を作ることです。
人間が候補者の本質を見抜くために
私は、採用という仕事には、どうしても人間にしかできない部分が残ると思っています。
候補者の人柄、価値観、仕事に対する考え方、組織との相性。
こうしたことを、AIだけで完璧に判断するのは難しいでしょう。
また、企業にとって優秀な人材というのは、単に経歴が立派な人や、面接で上手に話せる人とは限りません。
その企業の文化に合っているか。
一緒に働く仲間とうまく協力できるか。
困難な状況でも前向きに仕事に取り組めるか。
こうした部分を判断するためには、やはり人間が直接向き合うことが重要だと思います。
しかし、採用担当者が大量の応募書類を読み、候補者との日程調整を行い、何度も初期面接を繰り返していたら、本当に重要な判断に十分な時間を使うことができません。
私は、それが非常にもったいないと思っています。
AIができる仕事は、AIに任せればいい。
そして、人間は人間にしかできない仕事に集中すればいい。
これは採用活動に限らず、これからの社会全体に共通する考え方ではないでしょうか。
AIの時代に、採用活動も変わらなければならない
AIを使って応募書類を作成する候補者を禁止する。
そんなことを議論するよりも、AIを使うことが当たり前になった社会で、企業はどうやって本当に必要な人材を見つけるのか。
そこに目を向けるべきだと思います。
これからの時代、応募書類は候補者を理解するための出発点にはなっても、それだけで優劣を判断する材料としての価値は、ますます小さくなっていくでしょう。
必要なのは、書類に書かれている内容を確認し、候補者の能力や適性をより深く理解する仕組みです。
そして、そのために必要な時間とコストを、AIの力でできる限り削減することです。
応募から最終面接の候補者選定までをワンストップで。
これが、私たちがZipUppで実現したい採用活動の形です。
AIが当たり前になった時代に、採用活動だけが昔のやり方を続けていていいはずがありません。
私はそう考えています。